この分野では、私たちが働く上でのルールや、企業間の取引に関するルールを知ることが目標です。働き方改革が進む中で、これらの法律がどのような役割を果たしているのかを理解することが重要です。
(1) 労働関連法規
働く人の権利を守り、安心して働ける環境を整えるための法律です。
・労働契約法、労働基準法、労働者派遣法などの基本的な考え方
労働契約法: 労働者と会社が結ぶ「労働契約」に関する基本的なルールを定めています。例えば、解雇は客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要である、といった内容です。
労働基準法: 労働条件の「最低基準」を定めた法律です。賃金、労働時間、休日など、会社が必ず守らなければならないルールが定められています。
労働者派遣法: 労働者派遣事業の適正な運営を確保し、派遣労働者の保護を図るための法律です。派遣元会社や派遣先会社が守るべきルールが細かく決められています。
・労働安全衛生法、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)など、労働者の安全、心身の健康、雇用の安定化、職業生活の向上を目的とした法律があること
労働安全衛生法: 職場の安全と健康を守るための法律です。機械の安全基準や、健康診断の実施などを義務付けています。
労働施策総合推進法(パワハラ防止法): 職場におけるパワーハラスメントを防止するための措置を企業に義務付けています。これにより、労働者の心身の健康や働きやすい環境の維持が図られます。
① 労働基準法
労働時間、賃金など、労働契約において最低限守らなければならないことが決められています。
【用語例】
36(サブロク)協定: 労働基準法では、法定労働時間を超えて労働者に残業をさせたり、休日に労働させたりすることを原則として禁止しています。しかし、労使(会社と労働者の代表)で「時間外労働・休日労働に関する協定」を結び、労働基準監督署に届け出ることで、例外的に残業や休日労働が可能になります。この協定が労働基準法第36条に基づくため、「36協定」と呼ばれます。
フレックスタイム制: 一定の期間(清算期間)についてあらかじめ定められた総労働時間の中で、労働者自身が日々の始業時刻と終業時刻、労働時間を自由に決めることができる制度です。ただし、必ず出勤しなければならない「コアタイム」が設けられる場合もあります。
裁量労働制: 業務の性質上、時間配分を労働者の裁量にゆだねる必要がある業務について、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ労使で定めた時間(みなし労働時間)を働いたものとみなす制度です。専門性の高い業務や企画業務などに適用されます。
最低賃金: 労働者の生活を安定させるため、国が賃金の最低額を定めたものです。会社は、この最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。
② 労働者派遣法(労働者派遣事業法)
労働者を派遣するには認可が必要であるなど、派遣事業者が守らなければならない規定があること。
労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。また、派遣期間の制限や、派遣労働者の待遇に関する規定など、派遣労働者を保護するためのルールが定められています。
③ 守秘義務契約
職務上知りえた秘密を守るべき契約があること。
会社が持つ重要な情報(顧客情報、技術情報、営業秘密など)を、会社の許可なく第三者に漏らしたり、自分の利益のために利用したりしないことを約束する契約です。入社時や退職時に結ぶことが多いです。
④ 契約類型
契約の種類としての、請負契約や派遣契約などの基本的な特徴。
【用語例】
(準)委任契約:
委任契約: 法律行為(例えば、弁護士に裁判の代理を依頼するなど)をすることを相手に依頼し、相手が承諾することによって成立する契約です。仕事を完成させることではなく、特定の事務処理を行うこと自体が目的となります。
準委任契約: 法律行為以外の事務処理(例えば、コンサルティングや医療行為など)を依頼する契約です。委任契約と同様に、仕事の完成ではなく、事務処理を行うこと自体が目的となります。
雇用契約: 労働者が使用者の指揮命令下で働き、使用者がその労働に対して賃金を支払うことを約束する契約です。労働基準法などの労働法規が適用され、労働者は手厚く保護されます。
請負契約: 仕事の完成を目的とする契約です。請負人は、注文された仕事を完成させる義務を負い、注文者は、その完成した仕事に対して報酬を支払う義務を負います。例えば、家を建てる契約や、システム開発の契約などが該当します。請負人の指揮命令は注文者にありません。
派遣契約: 労働者派遣事業を行う会社(派遣元)が、雇用する労働者を、別の会社(派遣先)の指揮命令の下で働かせる契約です。派遣労働者は派遣元と雇用契約を結びますが、実際の業務は派遣先の指示で行います。
(2) 取引関連法規
企業間の公正な取引を促し、消費者保護を目的とした法律です。
・下請代金の支払遅延等を防止して下請事業者の利益を保護する法律として、下請法があること
下請法(下請代金支払遅延等防止法): 親事業者(大企業など)が、下請事業者(中小企業など)に対し、優越的な地位を利用して不当な取引を行うことを防ぐための法律です。下請代金の支払いを遅延させたり、不当に減額したりすることなどを禁止し、下請事業者を保護します。
・金融分野における ITの活用に関連する法律として、資金決済法、金融商品取引法などがあること
資金決済法: 電子マネーや送金サービスなど、ITを活用した新たな決済手段の安全な利用を促進するための法律です。例えば、資金移動業者(PayPayやLINE Payなどの事業者)の登録制度などを定めています。
金融商品取引法: 株式や債券などの金融商品の公正な取引を確保し、投資家を保護するための法律です。金融商品の販売や情報開示に関するルールを定めています。
・大げさな表現などで消費者をだますような広告や、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すステルスマーケティングを規制する法律として、景品表示法があること
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法): 消費者が商品やサービスを適切に選択できるよう、広告や表示が不当にならないように規制する法律です。
不当表示の規制: 実際よりも優れているように見せかける「優良誤認表示」や、価格などがお得であるかのように偽る「有利誤認表示」などを禁止しています。
ステルスマーケティングの規制: 広告であるにもかかわらず、それが広告であることを隠して行う宣伝手法(いわゆる「ステマ」)を禁止し、事業者に広告であることを明示するよう義務付けています。
過大な景品類の制限: 商品・サービスの購入者に提供する景品類(おまけなど)の最高額や総額を制限し、消費者が景品に惑わされずに商品・サービスを選べるようにしています。
【用語例】
特定商取引法(特定商取引に関する法律): 消費者トラブルが生じやすい特定の取引(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売など)について、事業者による不当な勧誘行為を規制し、消費者を保護するための法律です。クーリング・オフ制度(一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度)などが有名です。
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律): 公正で自由な競争を促進するための法律です。カルテル(事業者同士が価格などを協定すること)や、私的独占(特定の企業が市場を支配すること)、不公正な取引方法などを禁止し、消費者の利益を守ります。
特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律: 大規模なデジタルプラットフォーム事業者(ECサイトやアプリストアなど)に対し、取引条件の開示や、利用事業者からの苦情処理体制の整備などを義務付け、取引の透明性と公正性を高めることを目的とした法律です。
PL法(製造物責任法): 製造物の欠陥によって消費者が損害を被った場合、過失がなくても製造業者が責任を負うことを定めた法律です。これにより、消費者は欠陥製品による被害から保護されます。
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